【Q&A】完璧主義で疲れるシニアへ!解決のヒント3選

「投稿するたび、『もっと良くできたはずだ』『批判されていないだろうか』と考えてしまう……。」
そんなふうにSNSや人前での発表後、必要以上に自分を責めて疲れてしまうシニアの方は少なくありません。
完璧を目指す姿勢は立派ですが、度が過ぎると心をすり減らし、やがて「もう何もしたくない」という気持ちにつながります。

この記事では、50代後半の男性から寄せられたリアルな相談をもとに、
完璧主義が生まれる背景や仕組みを解説し、今すぐ試せる3つの解決ヒントをQ&A形式で紹介します。
まずは気軽な気持ちで読み進めてください。きっと心が少し楽になるはずです。

目次

SNSや人前での発表後、不安が止まりません

相談者の声:「もっと良くできたはず…といつも後悔します」

SNSで投稿した後、発表が終わった後、家に帰ってから何度も頭の中で繰り返し反省してしまいます。
「あそこはもっとこう言えばよかった」「変に思われなかったかな」と考え始めると、夜もなかなか寝付けません。

結局、次の投稿や発表のときには余計に緊張してしまいます。また完璧を目指してしまい、疲れて何も手がつかなくなるんです。

専門家の視点:「完璧を求める心には理由があります」

とても誠実な方ですね。その気持ち、決して珍しいものではありません。
完璧を目指そうとするのは、「失敗したくない」「他人に認められたい」という健全な思いの裏返しです。

でも、その思いが強すぎると、心をすり減らし、やがて一歩を踏み出すことさえ怖くなってしまいます。
ここからは、なぜそんなふうに感じるのか、どうすれば心を軽くできるのか、一緒に考えていきましょう。

なぜ私は完璧を求めすぎてしまうの?

完璧を求めすぎることに悩んでいるシニアの男性
相談者

やっぱり、どうしても完璧を目指してしまうんです。うまくやりたい、失敗したくないって思ってしまって……。

専門家

その気持ち、すごく自然なことですよ。特にSNSや発表の場面では、私たちは自分の行動が他人からどう見られるかを意識しやすくなります。
まず、なぜそんなふうに感じてしまうのか、その背景を見てみましょう。

SNS比較で不安が増える理由

SNSは他人の「いいところ」だけが切り取られて見える場です。
友人の成功談、素敵な日常、完璧なプレゼン……それを見て「自分も同じくらい良くしなきゃ」と無意識に思ってしまいます。

比較対象が増えるほど、自分の不安はどんどん膨らみ、何をするにも「もっと良くできたはず」と後悔しやすくなるのです。

承認欲求が完璧主義を強める仕組み

「いいね」や評価の数が、自分の価値を示すように錯覚してしまうことがあります。
特に、頑張って準備したSNS投稿や人前の発表で思うような反応が得られないと、「自分はダメだ」と落ち込んでしまいます。

この承認欲求は本来自然なものですが、強くなりすぎると「認められないと価値がない」という思考の癖を生み、完璧主義を強化してしまいます。

認知バイアスとしての完璧主義

完璧主義は「認知バイアス(思考の偏り)」の一種です。
「一度の失敗=すべて台無し」「完璧じゃないと認めてもらえない」といった極端な考え方が、心の中に巣くいます。

そして厄介なのは、こうした思考がSNSや発表の場面だけでなく、普段の仕事や日常生活、家族や周囲の人とのやりとりにも広がってしまうことです。

完璧主義の人は、少し気を抜けば「それをたまたま指摘されたり責められたりするのではないか」という恐怖や不安を常にどこかに抱えています。
そのため、息つく間もなく、心が張りつめた状態が続き、疲弊してしまいやすいのです。

この思考の癖に気づき、「少しくらい不完全でも大丈夫」と思えることが、完璧主義から少し離れる第一歩になります。

完璧主義を手放す3つの行動ヒント

相談者

どうすれば、そんな完璧主義を少しでも手放せるんでしょうか?頭ではわかっていても、いざとなると難しくて……。

専門家

その感覚、よくわかりますよ。少しずつ、できそうなことから試していくのがコツです。この章では、日常で無理なく始められる3つの行動ヒントをご紹介しますね。

フォローや情報の整理で比較を減らす

まずはSNSの環境を見直してみましょう。
例えば、必要以上に自分を不安にさせるアカウントのフォローを外す、投稿を見ない時間をつくるなど、情報の整理をします。

完璧な人のように見える投稿を毎日見ていれば、自分もそうあらねばと疲れてしまうのは当然です。
比較を減らす環境をつくるだけで、心の負担はぐっと減ります

この考え方は、日頃の仕事にも応用できます。
「自分だけが常に完璧な成果を出さなければならない」という思い込みを持たないこと、他人の進め方や成果と自分を必要以上に比較しないことです。
たとえば同僚の仕事術や効率を見て焦るのではなく、「自分に合ったやり方」を意識するだけでも心が軽くなります。

まず60%完成で試してみる

「完璧にしないと出せない」というルールを少しだけ緩めてみましょう。
例えばSNSの投稿や資料作成では、「まず60%完成で出してみる」を自分に許可してみます。

ここで大事なのは、「何でも手を抜けばいい」という話ではないということです。
必要な部分はしっかり準備しつつ、「完璧ではなくても十分伝わる」「100%を目指さないことが逆に効果的な場合もある」という視点を持つことです。

最初は勇気がいりますが、やってみると「意外と大丈夫だった」「それで十分評価された」といった体験が得られます。
それが少しずつ自信に変わっていきます。

振り返りを「自己愛ノート」に書く

一日の終わりに「今日の自分を褒められること」を書き出してみましょう
ここで大切なのは、あくまで良いこと・できたことだけを書くことです。
反省点や足りなかった部分に目を向けると、完璧主義の人にとっては逆効果になることが多いからです。

たとえば「投稿できただけでOK」「同僚に笑顔で挨拶できた」「少し休む勇気を持てた」など、どんなに小さなことでも大丈夫です。
こうした良い点に意識を向ける習慣が、少しずつ心の偏りを整え、完璧主義から自分を解放する助けになります。

「自己愛ノート」に書くことで、自分の中にある「できたこと」「良かったこと」に気づき、完璧主義に偏りがちな心を優しく整えられます。

心穏やかになる3つの習慣づくり

心穏やかになり始めているシニアの男性
相談者

行動の工夫以外に、気持ちの持ち方とか、心の整え方ってありますか?

専門家

ありますよ。むしろ、心の習慣を整えることはとても重要です。
なぜなら、行動だけを変えようとしても、心の中が「完璧じゃなきゃ」「失敗したら終わり」と思い込んだままだと、すぐに元の状態に引き戻されてしまうからです。

習慣として心の持ち方を整えることで、初めて本当の意味で気持ちが軽くなり、行動を続けやすくなるんです。
この章では、心が穏やかになる3つの習慣をご紹介しますね。

小さな失敗を「学び」に変える

完璧主義の人にとって、失敗は「ダメなこと」「恥ずかしいこと」という強い思い込みがあります。
ですが、本来失敗は、次の行動のヒントをくれる貴重な経験です。「学びのチャンス」と捉える視点が大切です。

たとえばSNS投稿で誤字を見つけても、「次は見直しを増やそう」で十分です。
会議で言い間違えたら、「次はゆっくり話そう」でいいのです。「だから次はこうしよう」と考えられれば、それは前進の証です。

ここで大事なのは、「失敗した自分を責めない」こと。
落ち込むのは自然なことですが、それを引きずらず、1つの経験として整理するクセをつけましょう。 その積み重ねが、少しずつ「失敗=学び」と感じられる心を育てます。

「失敗=終わり」ではなく、「失敗=成長」の一部だと受け止める練習をしていきましょう。

マインドフルネスで「今」を感じる

過去の後悔や未来の不安で頭がいっぱいになると、心が今ここから離れ、疲れが増していきます。
そんなときはマインドフルネスを取り入れましょう。

難しく考える必要はありません。
深呼吸を数回して、「息を吸っている、吐いている」という感覚に意識を向ける。「空気の流れ」「胸の上下」を感じるはずです。
散歩中、足の裏が地面を踏む感触や、風の音、木の葉の揺れに耳を澄ます。コーヒーの香りをゆっくり感じるだけでも良いです。

「今、自分は何を感じているか」に注意を向けるだけで、不安の連鎖が一瞬切れ、心が落ち着く瞬間が訪れます。過去や未来の不安から心を解き放ちやすくなるのです。

完璧主義の人は、頭の中で「次のために何を直すか」をぐるぐる考え続けがちです。
だからこそ、意識的に頭を休め、五感で今を味わう時間を作ることが、とても大切なのです。

感情と自己評価を切り離す

完璧主義の人は「うまくいかなかった → ダメな自分」という思考になりがちです。
でも、失敗や不安を感じたとしても、それは「ただの感情」であり、自分の価値そのものではありません。
それがあなたという人間の価値を決めるわけではないのです。

たとえば、「今日はちょっと緊張したな」「今は落ち込んでいるな」と、自分を実況中継するように感情を観察します。
「自分はダメだ」と評価するのではなく、「緊張している自分がいる」と気づくだけ。
そうすることで、自分への厳しい目線が少しずつ和らぎます。

さらにおすすめなのは、良かったことも合わせて意識することです。
「緊張しても最後までやりきった」「落ち込んでも立ち直ろうとしている」――そうした小さな肯定を積み上げることで、自己評価のバランスが整っていきます。

自己評価と感情を切り離す習慣をつけましょう
それだけで、自分への厳しさが少し和らいでいきます。

まとめ

相談者

いろいろ聞かせてもらって、少し心が軽くなった気がします。でも、いざ行動に移すとなると、やっぱり怖さがありますね……。

専門家

そうですね、その感覚はとても自然です。
完璧主義は、長年の習慣や考え方のクセから生まれているものですから、今日話を聞いてすぐにすべてが変わるわけではありません。
でも、覚えていてほしいのは、「小さな一歩を積み重ねれば、必ず変化は生まれる」ということです。

相談者

小さな一歩、ですか……例えば、どんなことから始めればいいんでしょう?

専門家

例えばこうです。

① SNS投稿で完璧を目指さず、60%完成の内容で一度投稿してみる。
② その投稿後は『よかった点』を自己愛ノートに1つ書く(反省点ではなく、できたことだけです)。
③ 投稿後は、評価や反応を過剰に気にしすぎない。必要以上に結果を確認せず、自分の中の満足感を大事にする。

このどれか1つだけでも構いません。大切なのは、今日からできそうなことを1つ選び、試してみることです。

相談者

……それなら、できそうな気がします。少しずつでいいんですね。

専門家

はい、少しずつでいいんです。
完璧じゃなくても、あなたには価値がありますし、そのままのあなたで十分です。どうかご自身に、やさしい目を向けてあげてください。

以上になりますが、この記事が同じ悩みを持つ人の一助になれば幸いです。

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