「定年後、自分が何をしたいのかわからない……そんな気持ちを抱えていませんか?」
実は、シニア期こそ自己理解を深め、自分らしい人生を選ぶ大切な時期です。
この記事では、問いかけやワークを通じて、あなたが自分自身を見つめ直し、心の中を整理するための3つの実践方法をご紹介します。
問いかけとは、自分への質問を通じて行う内省や気づきのことです。
実際に手を動かすワークでも、「私は何が好きだった?」「どんな時に満たされる?」など、自分への問いを通して本音に気づく工程が含まれています。
シニア世代こそ「自己理解」が新たな出発点に
シニア期を迎え、ふと立ち止まったとき「これから何をしたいのか」「自分はどんな人間なのか」と考える方は多いでしょう。
退職や子育ての終了など、ライフステージの変化が多いシニア世代だからこそ、いま一度「自分を知る時間」を持つことが、第二の人生を充実させる大切なカギとなります。
この章では、なぜ自己理解が必要なのか、その背景と理由をひも解きます。
シニア期に訪れる「自分迷子」の理由
年齢を重ねると、若い頃とは違う価値観や生き方が自然と生まれてきます。「自分って何者だろう」と感じる瞬間は、年齢を問わず誰にでも訪れるものです。
長い間、家庭や仕事に注力してきた人ほど「自分の時間」が突然増えると戸惑います。
役割が変わり、社会とのつながりが減ると、これまでの価値観や目標が揺らぐのです。
だからこそ、シニア期は「自分とは?」という問いに向き合う絶好の機会でもあります。
自己理解がないと生じる7つの問題
自己理解が不足していると、以下のような問題が起こりやすくなります。
- 漠然とした退屈感や虚無感におそわれる
自分が何をしたいのか分からず、毎日が「こなすだけ」になりがちです。 - 過去の後悔や他人との比較にとらわれやすい
「あのときこうしていれば」と後悔し、他人と比べて落ち込むことが増えます。 - 未来の選択肢や希望が描けなくなる
「これから何をしたいか」がわからず、目標や行動が定まりません。 - 判断に自信が持てず、人の意見に左右されやすくなる
本当に望んでいることが分からず、周囲の声に揺れやすくなります。 - 人間関係での距離感や頼り方がわからなくなる
「どんな関係が心地いいか」「どう頼ればよいか」が見えにくくなります。 - 気持ちをうまく言葉にできず、相談できなくなる
モヤモヤを整理できないことで、他人と距離ができやすくなります。 - 自分らしい生き方に踏み出せず、閉塞感を抱えやすい
「これでいいのか?」と迷い、動き出せない状態が続きやすくなります。
これらは「やりたいことが見つからない」のではなく、「自分をよく知らない」ことから生まれる壁なのです。まずは、そのことに気づくことが出発点となります。
ワークを通じて内面を整理【3つの実践ワーク】
自己理解は頭で考えるだけでは深まりません。
問いかけやワークを通じて、実際に「書く」「言葉にする」ことで、初めて自分の本音や価値観が見えてくるものです。
ここでは、シニア世代におすすめの 3つの簡単な実践ワーク をご紹介します。
どれも特別な知識や準備は必要なく、「今の自分」に向き合う第一歩になります。
これらの自己理解ワークを続けることで、自分が何に心動かされるのかが見えてきます。
また、どんな価値観を大切にしているかも少しずつ明確になるでしょう。
「自分らしさ」や「これからの軸」が徐々に明確になっていきます。
1.自分棚卸しワーク(SWOT分析)
まずは、自分の強みや課題を棚卸しするところから始めましょう。
SWOT分析(強み・弱み・機会・脅威の分析)は、シンプルな質問に答える形で、自分の特性や環境を客観的に整理できます。たとえば、これまで褒められたことや続けてきたこと、反対に苦手だったことを書き出すだけでも、多くの発見があります。(※企業や事業の戦略立案で使われる手法の個人版)
紙を4つの枠に分け、それぞれに以下を記入していきます。(一般的な方法)
- Strength(強み):得意なこと、人から褒められたこと
- Weakness(弱み):苦手なこと、失敗した経験
- Opportunity(機会):今の環境でできそうなこと
- Threat(脅威):挑戦を妨げる要因や不安なこと
完璧に埋める必要はありません。
3つでも5つでも、
思いつくものだけでOKです。
書き出すことで「自分らしさの輪郭」が少しずつ明確になっていきます。

2.価値と軸の発見(Will‑Can‑Mustや価値観マップ)
次の、Will-Can-Mustと価値観マップは、「今後の軸や方向性」を明確にするのに役立つワークです。
どちらも自分の価値観を言語化・視覚化することで、「何を大切にして生きるか」を整理できる点で共通しています。
Will-Can-Mustは、「Will(やりたいこと)」「Can(できること)」「Must(求められること)」を3つの輪の中にそれぞれ1〜3個ずつ書き出し、重なり合う部分を探す方法です。
自分の軸が明確になるため、自分らしい役割や働き方のヒントになります。
価値観マップは、「大事にしてきたこと」「これから大切にしたいこと」を視覚化するのに有効な方法です。これにより、自分の進みたい方向性が少しずつ輪郭を持ってきます。
「大切にしたいこと」を自由に書き出し、線や色でつないでみましょう。
例えば「家族」「健康」「自由」といった単語から始めてみましょう。それぞれの単語に補足メモを書いてみるのもよいでしょう。
頭の中にあったぼんやりした想いが、形になって目に見えるようになります。
それだけで、漠然とした不安が和らぐ方も多くいます。


「価値観マップ」の具体的な作り方・活用法については以下の別記事を参考にしてください。
◆シンプル版(簡易版)>>>価値観を知れば「とらわれ」はゆるむ!シニア向け自己理解ワーク入門
◆通常版>>>シニアの実践法!価値観マップで「私の大切なもの」を見つけよう
3.過去の可視化(モーメントログ・自分史)
最後は、モーメントログ(日々の感情や出来事を書き留めるノート)と自分史です。
モーメントログは「日々の感情」に焦点をあてた日常の価値観可視化ツール。
一方の自分史は、人生全体の「過去を振り返る」ことで、長期的な傾向や価値観を見つけ出すワークです。
目的や対象範囲が異なるため、両方行うことで多角的に自己理解が進みます。
モーメントログは、日常の中で「心が動いた瞬間」を書き留めていくワークで、「今」の感情や行動の裏にある価値観や関心を炙り出すのに役立ちます。
ノートに、10年ごとの出来事や印象深かった体験を書き出し、感情の動きに注目してみましょう。
日々の暮らしの中で「嬉しかったこと」「感謝したこと」などを1日1行書くのもおすすめです。
日常の小さな感情に目を向けることで、価値観の核心が見えてくることがあります。
このワークでは、人生の山谷を振り返ったり、最近心が動いた瞬間をメモすることで、感情のパターンや価値観の核に気づけます。
また、自分史は、過去の出来事を時系列で振り返り、「何を大切にしてきたのか」「自分らしさが出た瞬間はどこか」を発見することで、自分の価値観や傾向が「物語」として見えてくるワークとなります。
特にシニア世代は「語るべき物語」がたくさんあります。それを書き出すことで、自分自身の足跡が見えてくるのです。
気づきを行動につなげる3つのステップ
自己理解のワークを終えたら、それを行動に結びつけていくことが次のステップです。
ここでは、気づきを実生活に活かし、小さな前進を生み出すための3つのステップをご紹介します。
無理せず自然な形で、気づきを自分のものにしていきましょう。
1.他者フィードバックで新たな視点を得る
自分ひとりの視点では見えない部分を、他者の言葉が照らしてくれることがあります。
家族や友人、信頼できる相手に「私の強みって何だと思う?」「私らしさって何?」と聞いてみましょう。
他者からのフィードバックは、自己評価とのギャップを知り、「自分でも知らなかった自分」を発見する手がかりになります。
これは「ジョハリの窓」という自己理解モデルでも知られており、他者から見た「自分自身の新しい一面」を発見する手がかりになるのです。

2.気づきのまとめ方と簡単な習慣化法
ワークの内容や気づきをノートやスマホにまとめておくと、後から振り返る際に便利です。
おすすめは、「週に一度、気づきメモを見る」習慣を作ること。
ハードルが高く感じるなら、「気づいたときだけ見返す」でも大丈夫です。
習慣化のコツは「完璧を求めないこと」。気が向いたときだけでも十分です。
ただ思い返すだけでも、気づきが心に定着していきます。
3.未来に向けた小さな一歩を決める
最後に、気づきから「次にやりたいこと」を一つ決めましょう。
例えば、「地域のボランティアに参加してみる」「昔の友人に連絡をとる」「オンラインの無料セミナーに申し込む」など、ほんの小さな行動で構いません。
行動が伴うことで、自己理解はさらに深まり、前向きな流れが生まれます。
よくある誤解と安心ポイント

自己理解のワークに取り組むと、「私には難しいかも」「ネガティブな気持ちが出てきてつらい」といった声が聞かれることがあります。
ここでは、そうした誤解や不安に寄り添いながら、安心して続けるためのヒントをご紹介します。
ツールやワークが難しいと感じたとき
価値観マップなど自己理解のためのワークは、完璧に仕上げる必要はありません。
むしろ「書き出してみる」「途中で止まってもOK」と思うくらいの気軽さで十分です。
シンプルな問い一つに向き合うだけでも立派な自己理解の一歩です。
SWOT分析をはじめ図式などのワークも、必ずしもすべて埋める必要はありません。
思いついたことだけを自由に書く、途中でやめてもよいと思って取り組んでみてください。
問いかけにだけ答えるだけでも、十分な気づきがあります。
ネガティブな感情が出てきた場合には
過去を振り返ると、後悔や寂しさ、不安が顔を出すこともあります。
それは悪いことではなく、「心の整理が始まったサイン」。
無理に明るく振る舞おうとせず、「今はそう感じているんだな」と受け止めてみましょう。それが自己理解を深める、大切なプロセスでもあります。
心の奥を見つめる時間は、優しさを持って続けることが大切です。
それでも、進め方に迷うときは、家族や友人、専門家など他者と話してみるのも大切な選択肢です。
さあ、行動のステップへ
ここまでのワークやステップを振り返り、最後にこれからの一歩を考えてみましょう。
大切なのは、完璧さを求めず、少しずつ自己理解を深めていくことです。
まずは、「やってみよう」と思えたことから、少しずつ形にしていきましょう。
本記事のまとめとポイント再確認
シニア期は「自分らしさ」を見つけ直す絶好のチャンスです。
強みや価値観を整理し、他者の視点を取り入れ、気づきを小さな行動に結びつける——。
このプロセスを繰り返すことで、心の中が少しずつ自然に整っていきます。
- 自己理解を深めることで「これからの生き方」が明るくなります
- SWOT分析や価値観マップ、自分史といった手法は、気軽に始められます
- 気づきを人と分かち合い、小さな行動につなげることで、変化が始まります
「今日からできること」を1つ決めよう
最後に、今すぐできることを1つ決めてみましょう。
例えば、「自分が嬉しかった出来事を3つ書き出してみる」「昔の写真を1枚見返して思い出を振り返る」など。
その小さな一歩が、あなたの自己理解の旅を後押ししてくれます。
まずはノートとペンを用意し、「最近楽しかったことを3つ」書き出してみましょう。
思いつかなければ、昔の写真を1枚手にとって、当時を振り返ってみてください。
その最初の一歩が、これからのあなた自身を深く知る入口になるかもしれません。
まとめ
シニア期に入ると、これまでの役割から解放される一方で、
「自分はどんな人間なのか」「何を大事にしたいのか」と戸惑う瞬間が訪れます。
そんなときこそ問いかけやワークを通じて、自分の内側をそっと見つめ直してみましょう。
この記事では、強みの発見や価値観の整理を助ける3つの実践ワークをご紹介しました。
どれも、完璧を目指す必要はありません。
「書いてみる」「考えてみる」という小さな一歩から、自己理解は少しずつ深まっていきます。ぜひ今日、紙とペンを用意して「今の自分」に問いかけてみてください。
その一歩が、これからの時間をより自分らしく彩るヒントになります。